SHOOTING THE MOON

宝塚の話を中心に好きなものを好きなだけ

月組『Rain on Neptune』で美しさを浴びた話②

Rain on Neptune千秋楽おめでとうございます!

今回も完走できてホッとしました。

歌劇団としてひとつでも多くお客様にお届けする」とロマ劇のムラ千秋楽でれいこさんがおっしゃっていたけれど、そういう覚悟や想いが詰まった舞台が完走できたこと、やはりうれしいなあ。

 

たった10日間は短すぎる…と思っていましたが、観劇日だけでなくTwitterを通じて毎日レポで狂っていたので、このまま公演が続けば間違いなく日常に戻れなくなるところでした。

きっとそれを見越しての10日間だったのでしょう(違う)

 

さて前回は視覚的な美しさについてしかお話できなかったので、今回はお芝居について、気になった人たちの所感をざっくばらんにお話ししようと思います!

 

 

物語自体について

 

プロットがわかりやすくて、スピード感もあってよかったです。ディズニーとかでショーとして上演されてもおかしくないようなお話でした。

プログラムでタカヤ先生が、コロナで公演中止を何度も余儀なくされている宝塚を前に「アンハッピー脳が死んでしまった」とおっしゃっていたけど、本当にその通りの物語でした。それにしても、アンハッピー脳が死んでしまったと言う言葉とっても良いなあ。

関係性があまり深掘りされていないと言う声もあったけど、この短い時間かつ制限の多い舞台という箱ありきのこの芝居だったと思うし、もともとタカヤ先生は物語が緻密と言うよりも、どう演出するかが秀でている人だから、今回もその手腕が発揮されたという印象。グッジョブです。

これくらい軽快な話だから行間を詰めなくても「考えるな、感じろ」的な作品で良かったんだと思います。

でもこういう本に隙間が多い芝居でこそ月組生の芝居力が光るなあと感じました。みんなの作りこみが面白くてワクワクしました。

本当に月組の芝居が大好きだ…!

 

ここからは役やその人の芝居について思いつくままに書きます。

 

 

シャトー・ド・カロ―♦/月城かなと

久しぶりにれいこさんの「自ら進んでいける役」を見た気がする。

れいこさんの本来の性格と近いものだったんだろうなと思うと、れいこさん自身もとても楽しんでるように見えてそれがとてもよかったです。

れいこさんの魅力の一つに「声」があると思うのですが、発声と滑舌の良さが光っていました。とにかく声がいい。

アニメのようなセリフがたくさんあるんだけど、呼吸の作り方が丁寧だから、くさくなったりせず物語に集中させてくれるの素晴らしいです。タカヤ先生の「れいこさんに言わせたいセリフのオンパレード」って感じがして、趣味?癖?が詰まっていて最高でした。

「必ず迎えにくる、君ごと盗んでみせるさ」は下手に座っていた時にど正面でれいこさんの顔を見ることができて、顔真っ赤になりました。なんだあのかっこよさは。


特にれいこさんのお芝居が光ったのは、大人シャトーが少年時代の回想を階段の上からそっと見つめるところ。

セリフは一切ないんだけど、見つめる目が愛おしそうで切なそうで苦しそうで、少年時代の「記憶」を大事に大事に抱えて生きてきたというのがよくわかりました。

うーちゃん(英かおとさん)がDreamTimeで「こんなにも思いが目からビンビンに伝わるんだな」と川霧の橋を通じて感激したという話を思い出して、そのことにものすごく納得した瞬間でした。彼女の目はいつだって雄弁で、その視線で人生が、想いが見える。この目をしっかりと追えたのはこの舞台ならではだなあ。普段は袖からしか見られない光景を客席から見させてもらえるの、本当に素晴らしい劇場だなとしみじみ思います。

 

シャトーについてですが、あんなにつらい幼少期をすごしてきたのにあんなまっすぐな大人に育ったの偉い。ベルメールからきちんと愛されたという実感があるからシャトーはベルメールとの思い出と共にまっすぐに生きてこれたんだなと思います。これは少年シャトーがベルメールに「怒ってほしい」と伝えるところからもよくわかる。怒ってほしいって、相当相手のことを、相手から受ける愛を信頼していないと出てこない言葉だと思っていて、ベルメールの愛をまっすぐに受け止めていたことを感じて、何度見ても絶対ここでぐっと来てしまいます。

そんなベルメールを救えなかったこと、ずっと心にしこりのように残っているんだろうな、だけどその痛みすら愛おしいんだろうなと思わされる台詞の数々、すごく良かったです。

だからこそ、シャトーがベルメールのことを愛した女ではなく「恋した女」というのとてもよかった。同じ理由で、硝子の欠片のことをとてもとても大事に抱えて生きてきたのに「こんな偽物が?」と言うのも、シャトーの傷と記憶のベルメールへの愛おしさを感じて大好きでした。

ベルメールを迎えに行けなかったこと、間に合わなかったことを悔やむ気持ちがあるからネプチューンのことは「必ず迎えに行く」と何度も歌うの愛だなと思います。

あと、ネプチューンの居室のシーンで「どうしてそこまで言ってくれるの?」に対しての回答が「ベルメールの影に…いや違うな、君自身に惹かれたからさ」と答えるところ、私のシャトー大好きポイントが詰まっています。自分にとって何が本物のお宝かは自分が一番よくわかっているということがシャトー自身を表しているよなと思いました。素直に自分の思いをまっすぐ口にできる人なんですよ、シャトーは。

クールちゃんに注意?嫉妬?される台詞が「笑ってる君はとても美しい」なのもとても好きです。シャトーにとっては素直にそう思ったから口にしただけなんだろうけど周りには愛の言葉に聞こえているのがとても良い。シャトーそういうところだぞ!の気持ちが止まりません。

れいこさんは「真実を見つめることができる人」を演じさせると天下一品だなと思います。れいこさんの観察力(組子がよく言う透視能力)がお芝居でも光るのだろうなと思います。すべてわかった上で自ら決断する役を演じるれいこさんが改めて大好きだなあと思いました。

 

大好きなれいこさんの話だけで2000文字超えたので、次回に続きます。

これ何回で書ききれるのだろう…

 

ここまで読んでくださりありがとうございます!